ここは跡地です
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クモ
今イギリスでやってるメカさんと、一緒に働いていた頃だと思う。オレはクモのことを考えてた。クモは、そこに巣を張ると決めて、巣を張ってから、一体どれくらいそこで待ってるんだろう? 巣を張ったら、後はひたすら待つのだろうか? 来るか来ないかわからないエサをじっと待っているんだろうか? 餓死するまで待ち続けるのだろうか? どこかで見切りをつけて、移動するんだろうか? でも、何処へ? 行った先でエサにありつける保障なんて無い。放棄した途端に、その巣にエサがかかるなんてのもありがちな話だと思う。でも、じゃあ何時まで待ったらいいんだろう?
その時のオレは巣にエサがかかりそうにないのを感じながら、巣を離れるのが怖かった。ありそうもないのに、離れたあとにエサがかかったら、とか、今まで待っていたんだから、もう少しとか、適当な理由をつけて巣を離れない自分を少しずつ正当化しながら、いつかこのまま餓死するんじゃないかっていう恐怖を否定していたようにと思う。
そして、オレは、詐欺同然の謳い文句につられてやってきたメカさんが、どうするのか、新しい巣を張りに行くのか、死ぬまで待ち続けるのか、非常な興味で観察してた。自分自身に答えが出せない問題を、メカさんがどう処理するのかが見たかった。
結局、メカさんは巣に見切りをつけた。イギリスに行くという。なんというか、まったく予期せぬ答えだった。オレはメカさんが出した、その答えをどう考えたらいいかわからなかったし、今でもわからない。ただ、メカさんは考えられる最高の、多分、本人が考えていたものより上等の結果を手に入れた。もちろん、誰にでも起こるわけじゃない。オレは何十冊もの記録ノートを持ち歩いてるメカさんを他に知らない。イギリスに渡ってからも人並み以上の努力をしたことは容易に想像できる。
ドイツで暮らすようになってから、よくメカさんのことを思い出す。今の自分を考えると、とても同じことをするのは無理だろうと思う。ほとんど英語も喋れなかったのに、苦労は如何程だったか。だけど、努力が報われることもあるということをメカさんは示してくれた。オレに同じことはできないにしても、メカさんのことを思うと勇気を貰えるような気がする。
で、最初のクモの話に戻ると、巣を捨てるか、留まるか。当時は思いつかなかったけど、自分でエサを捕まえてくるクモだっているんだよというのが、きっと答えなんだと思う。
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